2007/05/07 (Mon) むかし僕の流した涙が落ちた場所に、綺麗な花が咲いていた（ＶＨ小説 ヘルシング＋カール お題提供 夢の忘却様）

むかし僕の流した涙が落ちた場所に、綺麗な花が咲いていた


　
「見てよヴァン・ヘルシング。こんなところに。」

「…ああ、珍しいな。こんな寒いところに…鮮やかな…。」

全てが終わり、アナ・ヴァレリアスを葬った後。
残った荷物をとりにヴァレリアス城に戻ったカールの目に
窓の外のテラスの鮮やかな一色がとまった。

それを見て、彼は相棒に声をかけた。


それは見たことも無い鮮やかな真紅の華だった。

死んでしまった彼女のような。


「…アナ、かな。」


「………。」

ヴァン・ヘルシングは答えることをしなかった。
やはりこの話題は出さない方が、とカールは後悔していたが。

ヘルシングは別の事を考えていたのだ。


花の咲いた場所に覚えがあるような気がする、と。



あの場所でいつか　誰かを見て　

悲しくて泣いた気がした。



「ヘルシング…。」


「あ…。」

布を差し出した手に、ヘルシングは我に返る。
気付かぬうちにまた涙をこぼしていたようだ。


「元気、出しなよ？」

「…すまん。」


誰を想って泣いたのか、ヘルシングには分からなかった。

あの花が誰を想って咲いたのか。


誰もわからないように。


end

半端なことを思いついたのでワンパターンな文をちょこっとだけ。
伯爵が死んだ後なので伯ヘルの予定がただのヘル＋カルになりました；

リハビリもままならん最近です(泣）